不動産(土地・建物)売却でかかる税金
不動産(土地・建物)売却でかかる税金
このページでは、土地の個人売買について、以下のことを解説します。
売却するときに納税しなければならないのが、➀印紙税と➁登録免許税です。
そして、売却することによって利益が出たら、確定申告をして、➀所得税と➁住民税を払い込みます。
売却するときにかかる | 印紙税 |
---|---|
登録免許税 | |
利益が出たら年度末に収める | 所得税 |
住民税 |
2つのグループに分けて説明します。
土地を売却するときにかかる2つの税金
➀印紙税と➁登録免許税がこれに当てはまります。
正規のルールに則って売却を進めると、自然に徴収されます。必ずかかる税金と言えます。
印紙税
高額な売買契約の契約書には、収入印紙を貼らなければなりません。
この収入印紙の代金が印紙税です。
通常、同じ内容の契約書を2つ作り、それぞれが自分の分の印紙税を負担します。
税額は売買代金によって決まります。不動産売買の税額は、以下のようになっています(2020年6月現在)。
契約書の金額 | 税額(1通あたり) |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上10万円以下 | 200円 |
10万円を超え50万円以下 | 400円 |
50万円を超え100万円以下 | 1千円 |
100万円を超え500万円以下 | 2千円 |
500万円を超え1千万円以下 | 1万円 |
1千万円を超え5千万円以下 | 2万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 6万円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 |
10億円を超え50億円以下 | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載なし | 200円 |
いえ、契約書は有効です。売買契約は効力を発揮します。
ただ、後で貼っていないことが分かったら、過怠税(貼り忘れのバツ)ほ支払わなければなりません。
登録免許税
登記を変更しなくても売買契約は有効ですが、もし第三者が古い登記を信じて別に取り引きをした場合、その第三者が優先されます。
よって、買い主は自分の所有権を守るために、登記をしなければなりません。つまり、一般的には買い主が費用を負担します。
登記をするときに、登録免許税が徴収されます。
税額は、不動産の評価額に税率をかけて算出します。
元となる不動産の評価額
原則として、固定資産課税評価額です。
金額は市区町村役場で管理している固定資産課税台帳に記載されています。
固定資産課税台帳の価格がないときは,登記所が認定した金額です。
税率
令和3年4月1日より前か後かで税率は異なります。
令和3年3月31日まで | 1000分の15 |
---|---|
令和3年4月1日から | 1000分の20 |
つまり、上の固定資産課税評価額に、0.015または0.02をかけた金額が税額です。
ただし、100円未満の端数があるときは切り捨てます。
売却して利益があったときに、確定申告をして納める2つの税金
➀所得税と➁住民税がこれに当てはまります。
これらの税金は、売却によって利益が出たときに、その利益に対して課税されます(他の所得と区別して課税されます)。
その利益を譲渡所得と呼びます。
利益(譲渡所得)の計算方法
譲渡所得は、以下の算式で計算します。計算結果がプラスのときに課税されます。
取得費
売った不動産を入手するためにかかった費用です。
購入費用とそれに付随する費用から、建物の減価償却費を引き算して算出します。
ただし、計算結果が売買代金の5%より小さいときは、売買代金の5%になります。
また、相続した不動産を3年10カ月以内に売却したら、その不動産の分の相続税も取得費に含めることができます。
譲渡費用
売るために直接かかった費用をいいます。
たとえば、次のような費用です。
- 不動産業者への仲介手数料
- 売り主が負担して印紙税、登録免許税
- 建物を他人に貸していたときは、その立ち退き料
- 建物を壊して更地にしたときは、その費用や建物の損失額
- 土地の測量の費用
所得税
上で計算した利益=譲渡所得がプラスだったときは、その金額に所得税の税率をかけると、税額になります。
税率
売るまでに所有していた期間と、使用目的によって、税率は変わります。
所有期間5年以下
居住用 | 30.63% |
---|---|
非居住用 | 15.315% |
所有期間5年超
居住用 | 15.315% |
---|---|
非居住用 | 15.315% |
所有期間10年超
居住用 |
|
---|---|
非居住用 | 15.315% |
課税の特例
所定の条件を満たすと、特例の対象になり、税金が軽減されるなど優遇されます。
- 3,000万円特別控除の特例(居住用財産を売ったとき)
- 軽減税率の特例(10年超所有した居住用財産を売ったとき)
3,000万円の特別控除に当てはまると、利益=譲渡所得から3,000万円を引くことができます。
住民税
住民税が所得税と異なるのは、➀納める相手が地方自治体であること、➁納める時期が所得税より遅いこと、➁税率が異なること、の3点です。
それ以外のしくみや計算式は同じです。
下表は、住民税の税率です(復興特別所得税2.1%相当を含む)。
所有期間5年以下
居住用 | 9% |
---|---|
非居住用 | 5% |
所有期間5年超
居住用 | 5% |
---|---|
非居住用 | 5% |
所有期間10年超
居住用 |
|
---|---|
非居住用 | 5% |
納税額のシミュレーション例
税額がどのくらいになるか、具体的なイメージがわくように、数パターンのシミュレーションをしました。
ただし、所得税と住民税は、売れた価格ではなく利益に課税されるので、シミュレーションできません。
そこで、注意点のみ記載しています。
500万円で売却したとき
一般的に、印紙税は売り主買い主それぞれが、登録免許税は買い主が負担します。
印紙税 | 1人あたり2,000円 |
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登録免許税 | 75,000円 |
所得税・住民税 |
|
1,000万円で売却したとき
一般的に、印紙税は売り主買い主それぞれが、登録免許税は買い主が負担します。
印紙税 | 1人あたり10,000円 |
---|---|
登録免許税 | 150,000円 |
所得税・住民税 |
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1,500万円で売却したとき
一般的に、印紙税は売り主買い主それぞれが、登録免許税は買い主が負担します。
印紙税 | 1人あたり20,000円 |
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登録免許税 | 225,000円 |
所得税・住民税 |
|
2,000万円で売却したとき
一般的に、印紙税は売り主買い主それぞれが、登録免許税は買い主が負担します。
印紙税 | 1人あたり20,000円 |
---|---|
登録免許税 | 300,000円 |
所得税・住民税 |
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それぞれの税金をいつ払うか?
上でご案内した4つの税金は、売却の一連の手続き中に納めるものと、売却後に払い込むものとに大別されました。
このうち、後者(売却後に納める税金)は、払い込むタイミングが後になる分注意が必要なので、もう少し詳しく説明します。
所得税
確定申告と納税を期日までにおこないます。
具体的には、売却した年の翌年の2月16日から3月15日の間に、➀確定申告用の所定の書類を所轄の税務署に提出し、➁申告した税金を金融機関等を通して納めます。
確定申告して承認されてから納税するのではなく、確定申告と同時に納税します。
それだけに、確定申告で申告する納税額は正確を期したいです。
確定申告で提出する書類等
通常は、次のものを提出します。
- 確定申告書B
- 分離課税用である第三表及び計算明細書
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表と計算明細書)
- 戸籍の附票
- 売買契約書と領収証(コピー)
- 仲介手数料の領収証(コピー)
- 測量費・登記費用などの領収証(コピー)
1〜3は、税務署等でもらえる他に、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
ネットで申告する方法もあります(e-Tax)。ただし、利用するには事前の登録手続きが必要です。
納税
納税方法は、5通りあります。いずれの方法をとるにせよ、原則として、申告時期と同じ2月16日~3月15日の期間中に納めてください。
所得税の納税方法
- 振替納税(確定申告のときに金融機関の口座を申告すると、4月20日頃に引き落とされる)
- クレジットカード納税(「国税クレジットカードお支払サイト」から手続き)
- コンビニ納税(QRコードを発行し、コンビニに持参)
- 金融機関又は所轄税務署の窓口で、現金に納付書を添えて納付。
なお、延納の届出をし、3月15日までに2分の1以上を納めれば、残りの納税を5月31日まで延ばせます。
ただし、延ばした期間分の利子がつきます(利子税)。
住民税
所得税の確定申告をすれば、市区町村から住民税の納税通知書(納付書)が送られてます。それを使って納めます。
全納か、4回に分けての分納かを選べます。
ただし、給与所得者は、給与支払者が毎月の給与から天引きして納付します。
まとめ
税金についてわからないことがあれば、税務署に相談すれば、申告期間の内外にかかわらず、丁寧に対応してもらえます。まずは、そちらにご相談ください。
ある程度時間にゆとりを持って取り組むことができるなら、自分で確定申告することは難しくありません。
しかし、時間をかけられないときは、税理士等の利用を視野に入れましょう。
税理士等を利用すると費用がかかります。
しかし、不動産売却の場合、特別控除や税率軽減などの例外が多いため、ミスをすると税理士費用どころでなく損をする恐れがあります。